2002/01/22 (火)  

もしもあなたが余命を告げられたなら?  (1話視聴直後感想)


『一週間後に世界が終わるとしたら、何をする?』という問いに、
『何も出来ないと思う』
と、私は答えていて、この答えを書いたときに深いことを考えていたわけではないけれど、今考えてみても、自分の死を前にしたら、やっぱり実際には何も出来ないだろうな、と思うわけです。

【木更津キャッツアイ】で、自分の余命があと半年だと仲間に告げた後、
「何かやりたいこととかねえの? 悪いけど、俺から見ると、ただぶらぶらしてるだけに見える」
「いろいろ考えてみたんだが・・・ない!」
というくだりがあって、実感は薄いけれど自分の死を認識している人間の実状を表していて秀逸だな、と思ったのです。

最近「定本頼藤和寛の人生応援団」という産経新聞に連載されていた人生相談をまとめた本を読みました。
この頼藤さんという人は精神科医なのですが、快刀乱麻を断つというか、歯に衣着せぬ物言いで、ばっさばっさと人の悩みをぶった切っていて、今まで読んだ人生相談の中でこんなに「笑えてためになる」ものを寡聞にして私は知りません。

この方は既に故人ですが、最後に【わたし、ガンです/ある精神科医の耐病記】という本を出しておられます。
以下その本の孫引きです。

『突き放して考え直してみると、私が死ぬまでに是非とも仕上げておかなくてはならない仕事というのは特にない』
だからこそ、
『私に必要なのは、自分が死ぬまでに仕上げておかなくてはならないものがあると勝手に思い定めることだけ』

もの凄く納得しました。

『生きる理由というのは外を探してもどこにもない』

私も、生きること自体に理由は特にないんだろうな、と思います。だからといって何もしないと暇だから、人は自分で自分にいろいろなストレス(勉強とか仕事とか恋愛とか育児とか)を与えて、それに没頭することで、
「人間は生きててても、その間に出来ることはたいしてない」という人生の真理に気づかないようにしているんだろうな、と思います。

多分人生って、
ストレス→解消→ストレス→解消→ストレス→解消→
のエンドレスなんでしょう。
ストレスというのも、上手く使えば自分を向上させることが出来るので、そんなに目くじらたてることではないのですが。

たいていの人は自分でなんとか出来るくらいのストレスしか自分に与えないのだろうけど、間違って大きすぎるストレスを自分に課したり、あるいは「人間は生きててても、その間に出来ることはたいしてない」ということに気づいてしまい、どうにもならなくなった人は、自殺してしまうのかもしれない、と思う今日この頃。

最近私は、昔よりも悩み事を抱えている時間が少なくなりました。
昔よりも忙しいはずだし、困ることも多いんですけど、一晩寝ると結構忘れます。
昔は、ずっとずっとそのことについて考えていて胸の一部が重苦しくて気分が悪かったんですけどね(粘着質)。
悩まなくなった代わり、記憶力も悪くなりました。
うーん。いちいち覚えてられないから、悩まなくなったのかな?
いいのか悪いのか。

だから、これは自分の実感を込めて言うんですけど、色々悩みがちな人っていうのは、多分「暇」なんだと思います。
だって忙しいのに、悩んでいる暇なんかないですもの。
だから、もし色々悩みがちな人は一度、ものを考える暇もないほど単調で、しかも忙しい肉体労働に従事してみるのはどうかと思います。
疲れ果てて爆睡してしまえば、悩む暇もなくなるような気が。
(注:これは鬱病の人には当てはまりません。もし身内に鬱病の人がいたら、決して励まさないで、「病院に行って薬を飲めば治る」とお伝え下さい)

【木更津〜】の話に戻ります。
5人の登場人物は、特に定職につかずに(一人大学生もいるけど)暇に飽かせて草野球をやっているような青年達です。

目の前の現実から遊離し(無職とかやることがない、という事実は、考えなければさしあたり自分を揺るがすような問題にはならない)、居心地の良いモラトリアムの世界にどっぷりと浸っていた彼らが、
『仲間の死』という逃れようのない現実を目の前に突きつけられ、長かったモラトリアム時代から抜け出して、どのように成長していくのか。
現実に折り合いをつけて「大人の男」になっていく過程まで描ききってくれたら、このドラマは私的に凄い名作になるかもしれないなあ、と思うのです。

というわけで、私は珍しく色々考えておりますので、
頼むから
「実は誤診でした」とか、
「私のお腹には彼の命が」とか、
そういうベタベタなオチはですね、いくら延命希望が集まったとしても
やらないで頂きたいです。
しらけるから。ていうか、やったら「私の時間を返せコラ」
と怒ります。

死ぬ時もですね、大袈裟に泣かせの演出とかせずに、さくっと、あっさりと、なんだか知らないうちに死んでた、とかいうのがいいです。

<おまけ>
「男子学生って、馬鹿で間抜けでおかしな青春が送れていいなあ。羨ましいぞ」と私に思わせた本。

「17才だった!」原田宗典
「あのころ僕らはアホでした」東野圭吾
「GO」「レボリューションNO.3」金城一紀

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